データ分析

原価率は18ポイント違うのに、利益率は7〜8%にそろう

外食5社の損益計算書を同じ物差しで並べると、原価が安い会社ほど販管費が重いことが分かります。例外はくら寿司です。

外食の利益率は原価率で決まる、とよく言われます。直近の決算で5社の損益計算書を並べてみると、その見方だけでは説明できない形が出てきました。

トリドールHD2027年3月期 第1四半期
合計 92.0%事業利益率 8.0%
物語コーポレーション2026年6月期 通期
合計 92.0%営業利益率 8.0%
すかいらーくHD2026年12月期 中間期
合計 93.0%事業利益率 7.0%
ゼンショーHD2027年3月期 第1四半期
合計 92.4%営業利益率 7.6%
くら寿司2026年10月期 中間期
合計 98.0%営業利益率 2.0%
各社の決算短信の損益計算書(百万円)から計算。トリドールHDとすかいらーくHDはIFRSの事業利益で、家賃の計上方法が日本基準の3社と異なります。決算期は会社ごとに違います。

原価率の差は18.5ポイント

原価率がいちばん低いのはトリドールHDの24.0%、いちばん高いのはゼンショーHDの42.6%です。うどんの主な原料である小麦粉は安く、牛丼や寿司は食材の比重が大きい。業態の違いが、そのまま原価率の差になっています。

それでも、原価と販管費の合計は92%前後に集まる

原価率に販管費率を足すと、トリドールHDが92.0%、物語コーポレーションが92.0%、ゼンショーHDが92.4%、すかいらーくHDが93.0%。原価率が18ポイント以上離れているのに、合計はほぼ同じ水準です。

理由は、原価が安い会社ほど販管費が重いことです。トリドールHDは店で麺を打つぶん人手がかかり、販管費率は68.0%。反対にゼンショーHDは原価率が高い一方で、販管費率は49.8%に収まっています。原価と手間は、入れ替わりの関係にあります。

くら寿司だけが98%

くら寿司は原価率が41.1%と高く、そのうえ販管費率も57.0%と、他社と同じくらいかかっています。合計は98.0%で、営業利益率は2.0%にとどまりました。原価の高さを、販管費の低さで埋められていない形です。

この比較を読むときの注意

  • トリドールHDとすかいらーくHDは国際会計基準(IFRS)で、利益は「事業利益」を使っています。IFRSでは店舗の家賃が販管費ではなく、使用権資産の償却とリース負債の利息として計上されるため、日本基準の3社と完全に同じ土俵ではありません。
  • 決算期がそろっていません。第1四半期・中間期・通期が混ざっているので、季節による偏りを含みます。
  • 率はすべて、各社が開示した実額(百万円)から計算し直しています。会社の資料に載っている率とは、小数点以下がずれることがあります。

出所

  • トリドールホールディングス 2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕
  • 物語コーポレーション 2026年6月期 決算短信〔日本基準〕
  • すかいらーくホールディングス 2026年12月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕
  • ゼンショーホールディングス 2027年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕
  • くら寿司 2026年10月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕

本記事は公開資料をもとにした業界分析で、特定の銘柄の売買を勧めるものではありません。数値の誤りが見つかった場合は訂正方針に沿って訂正します。